子育て情報|絵本のめぐみ

こどもの発達と絵本 その1 ―「絵本の読み聞かせと子どもの発達」―

2026.2.23

絵本にはさまざまなジャンルがあり、少子化の昨今でも年間2,000冊ほどの新刊が毎年出版されています。保護者の多くが生後5.6か月の乳児期から絵本の読み聞かせをされているようです。まだ寝返りもハイハイもできない言葉も発しない子どもにどのような遊びをしていいのか分からないけれど、絵本には絵があるのでそれを見せたらいいし文字を見て読んだらいいので、遊んであげられているという実感がもてると保護者の方はおっしゃいます。

乳児期の読み聞かせ絵本として多いのは「いない いない ばあ(松谷みよ子・あかちゃんのほん)」「だるまさんシリーズ」「じゃあじゃあ びりびり」「いい おかお」「もこ もこもこ」などの赤ちゃん絵本です。その多くがミリオンセラーになっています。「いない いない ばあ」は初版から60年もに渡り、母から子へ、子から孫へと長く読み継がれています。

エコチル調査というものをご存知でしょうか。胎児期から小児期にかけての化学物質曝露が子どもの健康に与える影響を明らかにするために、環境省では、日本中で10万組の子どもたちとそのご両親に参加していただき、大規模な疫学調査「子どもの健康と環境に関する全国調査(エコチル調査)」を2010年度より実施しています。「エコロジー」と「チルドレン」を組み合わせて「エコチル調査」です。

東北大学エコチル調査宮城ユニットセンターでは、エコチル調査のデータを使用し、約3万6千組の母子のデータを解析して、その結果、絵本の読み聞かせ頻度が高いほど、3 歳時点での発達スコア(※.ASQ-3)が5つの発達領域すべてにおいて高いことを明らかにしています。

5つの発達領域とは、コミュニケーション(言葉による意思疎通)、粗大運動(走る、跳ぶなどの大きな体の動き)、微細運動(手先を使う細かい動き)、問題解決(おもちゃの使い方を考えるなど)、個人-社会(対人関係や生活習慣)です。

また、1 歳時点で発達の遅れが見られた子どもにおいても、継続的な読み聞かせを行うことで、その後の発達スコアの改善が見られたと報告しています。

あと、読み聞かせの頻度が高い家庭では、子どもおよび親のスクリーンタイム(スマホやテレビの試聴時間)が短い傾向も確認されています。

保護者は、子どもの発達を促すために絵本の読み聞かせをしているのではありませんが、このような研究で、絵本の読み聞かせ頻度が高いほど、3 歳時点での発達スコアが、5つの発達領域すべてにおいて高いことが立証されると、今まで以上に安心して絵本の読み聞かせを親子して楽しむことができるのではないでしょうか。

エコチル調査では当初の調査予定を13歳、小学校終了時期としていましたが、多くの研究成果が報告され、貢献度が高い事業として社会的に認められたことから、保護者のご意向も踏まえて、13歳以降も調査を継続できることになりました。これにより、化学物質の曝露や生活習慣が、胎児期から小児期の子どもの健康にどのように影響するのかを明らかにすることに加え、思春期以降に発症する疾患やお子さんたちの次の世代の子どもの健康との関連も調べられるようになりました。

対人関係や生活習慣までも発達させる絵本について、何回かのシリーズでお話をさせていただきます。

次回は子どもの発達に応じた絵本を見ていきたいと思います。

※.ASQ-3(Ages and Stages Questionnaires, Third Edition):子どもの発達の進み具合を把握するために世界的に使用されているスクリーニング検査法。保護者が質問票に回答する形式で、5つの領域の発達を評価する。

「引用文献」
絵本の読み聞かせが子どもの発達全般に好影響を与えることを解明-エコチル調査のビッグデータ解析より-
国立大学法人東北大学 エコチル調査宮城ユニットセンター 2026年1月9日発表

 

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