「幼児期の終わりまでに育ってほしい『10の姿』」というものが「保育所保育指針」「幼稚園教育要領」「幼保連携型認定こども園教育・保育要領」に共通指針として挙げられています。これは「健康」「人間関係」「環境」「言葉」「表現」といった「保育の5領域」をベースに、幼児期の終わりまでに育んでほしいとされる姿や能力を示したものです。『10の姿』とは①健康な心と体 ②自立心 ③協同性 ④道徳性・規範意識の芽生え ⑤社会生活との関わり ⑥思考力の芽生え ⑦自然との関わり・生命尊重 ⑧数量や図形、標識や文字などへの関心・感覚 ⑨言葉による伝え合い ⑩豊かな感性と表現 です。
非認知能力をみてみましょう。東大CEDEP(発達保育実践政策学センター)[※]では、10の非認知能力を挙げています。
①自尊心「ぼく、わたしがすき!」(自分自身に価値があると信じたり、自分のことを好きだと思える心のこと。精神的な健康と密接に結びついている)。
②知的好奇心「見たい!知りたい!」(物事に興味・関心をもち、探求したいという気持ちのこと。自分から進んでさまざまな活動に取り組むモチベーションの源になる)。
③自己効力感「ぼく、わたしはできる!」(自分にはできないと決めつけず、自信をもって取り組む姿勢のこと。困難な課題にチャレンジしたり、あきらめずに努力を続けたりする力につながる)。
④忍耐力「さいごまであきらめない」(物事を最後までやりぬく心の粘り強さ、目標にむかい努力し続ける力のこと。グリット〈grit、やりぬく力〉ともよばれ、近年注目されている)。
⑤レジリエンス「ピンチに負けない」(困難な状況に直面したときに、そのショックやストレスから回復し、適応していく心の力のこと。精神的回復力ともよばれる)。
⑥セルフコントロール「グッとがまん」(大切な目標のために目先のやりたいことを一旦我慢したり、自分の気もちをコントロールしたりする力のこと)。
⑦感情知性「気持ちがわかる」(相手の気持ちを読みとって上手く対応したり、自分の気もちをよく理解し上手に表現したりする力のこと)。
⑧共感性「思いやりの心」(他者の気もちを、その人の立場になって理解する心のはたらき。困っている人を助けてあげようとしたりする思いやりにつながる)。
⑨規範意識「やくそく守れるよ」(良いこと悪いことを区別し、良いふるまいをしようとする姿勢、生活習慣や社会的ルール、礼儀正しさを守ろうとする心のこと)。
⑩協調性「力をあわせよう」(他の人と目標や考えを共有したり、折り合いをつけたりしながら、人と協力して何かをやりとげる力のこと)。
CEDEPによると、①②③④⑤の非認知能力は「自己に関わる心の力」、そして⑥は「自己と社会性の両方に関わる心の力」、⑦⑧⑨⑩は「社会性に関わる心の力」とのことで、「幼児期の終わりまでに育ってほしい『10の姿』」に共通していて、とても大切な「人」「子ども」としての姿です。
非認知能力を培うにはアタッチメントが重要です。日本語では愛着と表現されていますが、アタッチメントは「特定の人と結ぶ情緒的な心の絆」で、子どもからのネガティブなサインに対応することによって、子どもの安心場所が確立されていくことです。安全基地ができると子どもは安心してさまざまなことに挑戦します。自分で遊びを探し求めます。そして困ったりつまづいたりしたら、またサインを出して安心を求めます。そのようにしてどんどん安心基地が広がり挑戦の範囲も広がっていきます。「安心」と「挑戦」の繰り返しが大切です。
非認知能力は、安全基地をベースに、子ども主体の遊びを通して育つと言われています。 次回は遊びの種類をみていきたいと思います。
【参考資料】 東京大学 発達保育実践政策学センター
[※]東大CEDEP(発達保育実践政策学センター)は、乳幼児の発達や保育・幼児教育の実践、そのための政策に係る研究を推進する「発達保育実践政策学」という新たな統合学術分野の確立をめざして設立されました。そのホームページでは、さまざまな研究の成果が掲載されていて、子どもについての最新科学を総合的にみることができます。認知・非認知発達に関する実験的研究も掲載されています。資料をダウンロードすることもできます。