2歳から3歳にかけては自我の芽生えの時期といわれるように、要求がかなりはっきりしてきます。 「イヤイヤ期が『自我の芽生え』って知ってるけど・・・」、「いつもまでも続かないのは分かっているけれど、大変なのは今!」、「大事な時期なのは十分理解しているんだけど…」と保護者の皆さん。 一般的に言われているイヤイヤ期、第一次反抗期は、自我の芽生え、自分探しの時期です。日本では「魔の二歳児」、英語では「Terrible2(テリブル・ツー)」(恐るべき二歳児)と言われ、世界中の子どもたちがこの道をたどります。 標準的な発達に組み込まれた重要なステージのひとつです。とはいえ、親にとって大変な時期でもあります。「今まで叱ったことがないけれど、ずっとイヤイヤなので、今は叱ってばかりです」という声もよく耳にします。
ほんのこの間まで泣くことでしか要求できなかった子が、2年ほどで「ジブンデ!」「イヤ!」と自己主張できるようになるなんて本当にすごいことですよね。 イヤイヤ期は子どもの発達段階の通過点で、自分には独自の意思や感情があり、親とは異なる存在であるという意識が急速に強まる時期です。自己主張が激しくなり、その子の中で自立に向けての作業が繰り返される自立促進期です。 幼いころからはっきり「イヤ」と言える、その気持ちを親が「わかった、イヤなのね」と受けとめることはとても大切です。といっても、子どもの言いなりになることではありません。子どもに全てを合わさなくても構いません。 「〇〇ちゃんはイヤなのね」と気持ちを受けとめ、「お母さん(お父さん)はいいと思うよ」と、子どもの自己主張に対して親も自分の気持ちを伝えていきましょう。子どもの言い分はきちんと受けとめて、親は親で意見を表明します。 「一人でやりたい、やってみたい」という思いには十分に目を向けて、「やった!」「できた、うれしい」と子どもが体感できる機会をできるだけ作ってあげたいものです。
イヤイヤ期の子どもは、何がなんでも自分の思い通りにしたいためにわがままを言ったり我を張ったりしているわけではありません。自分で決めて自分で進みたいのです。 「自分が」「自分で」という自我の働きを尊重してもらいたいのです。可能な範囲で子どもに決めさせましょう。2つ3つの条件を提示して子どもに選ばせるといいですね。 「自分で決めて行動に移れる」状況を作ってあげることです。大人のほうはどちらを選ばれても困らないような提示をするといいでしょう。あとは順序付け。 Aではなくて先にBをしようかと提案した時「イヤ」が返ってきたらその思いは受けとめて、じゃあBではなくAにしようねと提案する。事前にきちんと予告をしておくことも必要です。 あと、好きなキャラクターを登場させて遊び感覚でそのキャラクターと一緒にさせたりと、皆さんいろいろ工夫をされています。自分で選ぶことで安心感にもつながります。 子どもでも、人に決められたことより自分で決めたことを続けたい、やり遂げたいという気持ちが働きます。
そして叱る時はきちんと叱り、ほめる時もきちんとほめましょう。叱る時はよくない行動や行為について「こういう理由でいけない」と、子どもに分かるよう端的に伝えます。 危険な行為をする時、人や自分や物を傷つけたりする時は叱りましょう。決して人格は否定しません。ほめる時は何が良かったのかを子どもに伝えましょう。「ほめる」「叱る」の両輪があってはじめて、子どもの“自己”は健全に育っていきます。
子どものイヤイヤで親はイライラ。親子でどんどん笑顔がなくなっていきます。親が笑顔を作ると子どもも笑みを浮かべます。大事な成長の時期、子どもとの時間を豊かに楽しく過ごしたいものです。
世界中の子どもが通る道「イヤイヤ期」。だからたくさんの絵本が出版されているのですね。
今回はその中から6冊ご紹介します。
【いやだ いやだ】せな けいこ 作・絵 福音館書店 出版 1969年
ルルちゃんはなんにでもすぐに「いやだいやだ」と言います。あんまり「いやだいやだ」と言っていたら……。
お母さんも「いやだ」と言って抱っこしてくれなくなりました。
おいしいおやつも、お日さまも、保育園にはいていく靴も、大事なくまのぬいぐるみも、みんなが「いやだ」と言いだします。
みんなに「いやだ」と言われて、ルルちゃんは泣きべそをかいてしまいます。50年以上読み続けられているロングセラー絵本です。
【こわくない こわくない】内田麟太郎 ぶん/大島妙子 え 童心社 出版 2002年
まーくんはこのごろ反対ばかり言います。「はとがいるよ」「いない」。
「あったかいね」「あったかくない」。夢でおばけに会っても「こわくない こわくない」。でも顔には冷や汗。
全てに反対のことを言えるなんてすごい成長ですよね。
【やだ!】ジェズ・オールバラ 作・絵 徳間書店 出版 2007年
水あびしていたジョジョくん。お昼寝の時間になっても、ママのいうことをききません。
「やだ、やだ!」ママはあきれてどこかへ行ってしまいますが…?
ちょっぴりわがままいったって、ママはぜったい見ていてくれる…ママに愛されていることが分かっているので「やだ、やだ!」って言えるのですね。
【いっさいはん】minchi 作・絵 岩崎書店 出版 2016年
「きらいな たべものが でてきたら ぜったいに くちを あけない」「はこが あったら とりあえず はいる」
“だっこしてほしいポーズ” “だっこされたくないポーズ” 1歳半ごろの子どもの “あるある行動”がたくさん載っています。まさに「いっさいはん」です。
【おでかけのまえに】筒井 頼子 作/林 明子 絵 福音館書店 出版1981年
「おかあさん、みて! わたしおべんとうを つめてあげたの」「まあ!」おかあさんは びっくり!―。
結果なんて、やってみないと分かりません。危険なことでなければ、できるだけ見守ってあげたいものですね。
子どもの、してみたい、してあげたいという気持ちを大切にしてあげましょう。
【だめよ、デイビッド!】デイヴィッド・シャノン 作・絵/小川仁央 訳 評論社 出版 2001年
「だめよ、デイビッド!」。ママは いつも いう・・・だめよ、デイビッド!って だめって いってるでしょ!―。
わんぱく真っ盛りの男の子。ただ好奇心が旺盛なだけ、やってみたいだけ。いろいろなことに興味関心を持ち、自分の考えで行動して結果を得ることはとても大事です。
最後は、ほっこり優しい気持ちにもなれます。