園で妊婦さんを見かけた時「なんでおなかが大きいの?」、お腹に赤ちゃんがいると聞くと「どうやって赤ちゃんはおなかの中に入ったの?」「赤ちゃんはおなかの中で何をしてるの? ご飯は食べてるの?」、赤ちゃんが生れたことを聞くと「どうやってお外に出たの?」。子どもの自然な質問です。お腹の中に赤ちゃんがいるというだけで不思議がいっぱいなのです。そのような質問には科学的に答えましょう。科学的といっても医学的にむずかしく話す必要はありません。今の発達段階でわかる言葉で伝えればよいのです。
受精・妊娠・出産・性器のことなど、全て絵本に絵でわかりやすく載っています。園児からの「なんで?」にしっかり向き合うことで信頼関係は深まりますが、それでも、どこまで伝えてよいだろうか、私が十分にわかっていない内容もあるし、恥ずかしい場面もあるし、……、と身構えるものです。性教育絵本は科学的に信ぴょう性の高いものが数多く出版されています。
● からだを扱っている絵本
● あなたが大好きだよの絵本
● みんな一人ひとり違っていいんだよの絵本
● 赤ちゃんが生れてから成長していく絵本
● 性交・妊娠・出産を扱っている絵本
● 生と死など命を扱っている絵本
● 家族がテーマの絵本
● 身を守る防犯絵本
● 多様な性や家族のありようの絵本
など、科学的に描かれています。まずは保育者が手に取って、今の子どもたちに合ったものかどうかを見てみましょう。
子どもたちが知りたいことは「赤ちゃんはどうやってできたのか(性交)」「赤ちゃんはどこでどうやって大きくなるのか(妊娠)」「赤ちゃんはどこからどうやって生まれるのか(出産)」です。このような問いかけに真摯に向き合い、子どもたちの背景を考慮した「大切な命・大事なあなた」の話をしてあげるとよいですね。自分の生まれてきた過程を科学的に知ることは、自分の存在を肯定的にみることにつながります。
子どもと接する時に、子どもが「快」「不快」「気持ちいい」「気持ち悪い」「いい感じ」「いやな感じ」がわかり、それを言葉に出して伝えることができるような保育者の対応も大切です。言葉を十分に発することができない子どもには、思いに寄りそって気持ちを代弁する言葉をかけてあげましょう。「うれしいタッチ」や「いやなタッチ」についても、場面を設定しながら話したり、絵本で伝えたりしたいものです。そして「いやなタッチ」をされた時に「いやだ!」と言っていいんだよと教えていきましょう。タッチの場面だけでなく、いやな気持ちになったり、つらい気持ち、悲しい気持ちになったりした時にも、自分の気持ちを言葉で伝えること、そして相手から「いや」と言われたらやめることも、合わせても伝えていきましょう。
そして、みんな一人ひとり違うこと、顔も髪の毛も体つきも気持ちも、みんな違って当たり前だということを保育の中で示していきましょう。保育者から子どもに同意を求める関わりをしていくことも大事です。
間接的な性犯罪予防に関しても、繰り返しの積み重ねで伝えたいものです。子どもたちは、まだまだ抽象的な概念は理解できません。むずかしい言葉は使わず、具体的に話をしていきましょう。さまざまな場面で絵本を利用するとよいですね。性被害を防ぐ第一歩は何でも話せる園での関係や親子関係の構築です。